里山の春。小さな電車にゆられて、ぽっこたちは菜の花の海へ。ねむたい朝の「おはよう」から、夕焼けの「また来よう」まで。やさしい春の一日をぎゅっと詰めた遠足のお話です。
ぽかぽか春の朝。まだ空はうっすら眠たそうで、おひさまが「おはよう」と顔を出しかけていました。
家の前で、ぽっこたちは小さなリュックを背負って集合です。ぴょんっと手をあげて「おはよう!」――でも目はちょっと、とろん。ねむいのに、心はわくわく。
里山の道をてくてく歩いて、小さな駅へ。木の駅舎のにおい。遠足に来た人たちもいるけれど、どこか静かな空気でした。
「ほんとに菜の花いっぱいかなぁ?」ぽっこたちはホームでそわそわ。耳をすませると――
コト…コト…と、遠くから音が来ました。レトロな電車が、ゆっくり近づいてきます。
目の前に電車がすべりこんだ瞬間、ぽっこたちの顔がぱっと明るくなりました。「きた…!」
運転席の窓から、運転手さんがにこっと手をふってくれました。ぽっこたちはうれしくて、つい大きく手をふり返します。
電車に乗って、座席にちょこん。対面の席で向かい合い、水筒のお茶をこくこく。窓の外には田んぼ、古い家、遠くの山。話もぽんぽん弾みます。
そして――景色の中に、黄色がちらり。
線路の両側が、ふわっと黄色に包まれていきました。菜の花です。ぽっこたちは窓に顔を寄せて「わぁ……」と息をのみました。
無人駅に到着。改札へ向かって歩くと、駅舎の左右にも菜の花畑。電車が去ったあと、風の音だけが残って、しーん、としました。
菜の花畑の小道を歩きます。黄色の海の中にいるみたい。ぽっこたちは横に並んで、にこにこ、足取りも軽やかです。
少し高台の木のベンチとテーブルで、お弁当タイム。おにぎり、いちご、卵焼き。菜の花の匂いと一緒に食べると、なんだか特別な味がしました。
探検もはじまりました。てんとう虫を発見!つくしも見つけて、ぽっこたちは「自然探検隊!」
そのとき、少し風が強くなって――菜の花が一斉に揺れました。黄色の波。ぽっこたちは静かに見つめて、春の風を感じました。
帰りの電車。ぽっこたちはちょっと眠そう。リュックは軽くなったけれど、心はいっぱいです。
夕焼けの里山。電車の窓に映る、ぽっこたちの笑顔。
「また来ようね、春の電車。」