歯を失って噛みにくさや見た目の不安を抱えた患者さんが、インプラント治療を通して「ふつうに噛める日常」を取り戻していく流れを、やさしいアニメで紹介する動画です。
ある日、硬いものを噛もうとしたとき、奥歯がぐらつくような感覚がありました。しばらくして、その歯は抜かなければならなくなり、その部分だけぽっかりとすき間が空いてしまいました。「片側では噛みにくいな…」と、食事のたびに不便さを感じるようになります。
入れ歯も検討しましたが、「違和感が強くないかな」「取り外しが大変そう」と、なかなか一歩を踏み出せません。そんなとき、インターネットで「インプラント」という選択肢を知り、「自分にもできるのかな?」と気になって、歯科医院へ相談に行くことにしました。
診療室では、まずお口の中の状態をチェックし、レントゲンやCT撮影であごの骨の量や神経の位置を詳しく確認します。モニターには立体的な画像が映し出され、「ここに人工の歯の根っこ(インプラント)を埋めていきます」と先生が模型を使いながら説明してくれました。
インプラントのメリットだけでなく、「外科処置をともなうこと」「治療期間が数か月かかること」「しっかりとしたメンテナンスが必要なこと」など、注意点もていねいに話してもらえます。「良いことだけじゃなくて、リスクもちゃんと教えてくれるんだ」と感じ、少しずつ不安が和らいでいきました。
全身の健康状態やお薬の確認も行い、安全に治療ができるかをチェックします。問題がなかったため、治療計画を立て、いよいよインプラント手術の日が決まりました。「少しこわいけれど、この先ずっと噛めるようになるなら…」と、前向きな気持ちで準備を進めます。
手術当日、麻酔がしっかり効いてから処置が始まります。CTをもとに作ったガイドを使い、位置を確認しながらインプラント体を骨の中に埋め込んでいきます。処置中の痛みはほとんどなく、「思っていたより短時間で終わった」と感じる患者さんも少なくありません。
数か月の治癒期間をおいて、インプラントと骨がしっかり結合したら、上にかぶせる歯(人工のかぶせ物)を作っていきます。型どりや色合わせを行い、周りの歯となじむように形や色を調整していきます。「自分の歯と同じように見えるかな?」と、完成が楽しみになってきました。
出来上がったかぶせ物を装着し、かみ合わせを細かくチェック。ゆっくり噛んでみると、「グッ」と力が入る感覚が戻ってきます。「久しぶりに、両側で噛めた気がする」と、思わず笑顔がこぼれました。鏡に映る見た目も自然で、「ここだけ人工の歯だとは分からないですね」と先生と一緒に確認します。
インプラント治療が終わったあとも、定期的なメンテナンスがとても大切です。歯科衛生士が周りの歯ぐきの状態をチェックし、専用の器具で丁寧にクリーニングを行ってくれます。「ここまでしてもらうと、ちゃんと守ろうという気持ちになりますね」と、通院の意味を実感します。
今では、以前と同じように好きなものをしっかり噛めるようになり、人前で笑うときにも迷いがなくなりました。「もっと早く相談していればよかった」と感じつつ、「これからはこの歯を大事にしていこう」と、新しい毎日が始まります。
インプラントは、失った歯を補うためのひとつの選択肢です。自分の生活スタイルやお口の状態に合わせて、しっかり説明を受けながら一緒に考えていくことで、納得した治療を選ぶことができます。